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性感染症

最初に

誰に相談したらいいんだろう?
おりもののにおいやかゆみ、量の異常、外陰部のしこりや皮膚のひどい炎症、びらん・・・。
それは、性感染症が原因かもしれません。

性感染症は性的な接触があればどんな方にも可能性がありますし、実は身近な生活用品の共有からうつる種類のものもあります。
そして、症状がなくても病気にかかっていることがあるので、知らないうちにうつしたりうつされたりして広がっていくものなのです。

すみません、怖い話ばかりになってしまいました。でも、良いこともたくさんあります。性感染症の治療はどんどん進歩しているので、以前は決定的な治療法がなかった病気にも治療法ができ寿命を全うできるようになったり(いわゆるエイズのことです)、任意で接種するワクチンであったものが公費での接種が可能なワクチンに設定されたり(B型肝炎のことで、横浜市では2016年10月から定期接種のワクチンに変更されました)、医学の進歩は素晴らしいことです。

デリケートゾーンの症状に気づいたら

ではどこで検査や治療を受ければ良いか、ということですが、女性の方でしたら産婦人科がおすすめです。おりものの異常ではおりものを採取して検査に提出する必要性があります。どこから採取してもよいわけではなく、きちんと決められた場所と手順があります。そして、皮膚病変についてはまず目で見て、特徴的な症状から病気を絞り込んでいきます。皮膚の隆起なのか、欠損なのか、炎症なのか。先天的で治療の不要なものなのか、性感染症の結果生じたしこりなのか。

私たちの役目は、速やかに診断、治療を行い正常状態へ戻していくことです。特に、病気の中には何度も反復して起こるようなものもあるからなおさらです(皮膚に強い炎症を起こし、潰瘍といわれる皮膚欠損を起こす外陰部ヘルペスなどがこれにあたります。とても痛い病気ですので、速やかな鎮火が必要です)。ヘルペスの治療のコツは、痛みになる前のピリピリとした違和感の時点で早めに受診し、一刻も早く最初の内服を開始することです。これまでにヘルペスになったことのある方で、まだ痛みがないから、と我慢している方がいらしたら、我慢せずに早めに受診することで痛みのある時間を減らすことができると知ってほしいです。

外来で見る特徴的な状況・症状

クラミジアや淋菌

こってりした膿のようなおりものが出ている、お腹が痛い、歩くとお腹に響いて痛い、のどの痛みや結膜炎を起こす方もいらっしゃいます。その一方で症状がない方もいらっしゃるので、気づかないうちに卵管の癒着を生じて不妊の原因となることもある怖い病気です。また、クラミジアと淋菌は片方のみでなく両方感染していることもあるのが特徴です。また、治療は抗生剤ですが、近年耐性菌も出現しているため、適切なタイミングでの再検査にて治療効果を判定し陰性になっていることを確かめることが大切です。

検査

性器:膣内のおりものを綿棒でぬぐって検査します。

のど:うがい液で検査します。

治療

抗生剤を内服します。耐性菌(薬が効かないタイプの菌)が出現することもあるため、治療開始から3週間後以降に再検査(効果判定)を必ず行います。その際に陰性が確認できたら治療完了です。

梅毒

近年ひそかに増えていると言われる病気です。皮膚や臓器や神経を侵食し、最終的に命を奪う恐ろしい病気です。治療には早期発見早期治療が何より重要です。体になんだかわからないしこりや発疹、潰瘍ができた場合にはお近くの皮膚科や性感染症を見られるクリニックを受診しましょう。治療は抗生剤です。かつては命にかかわることがありましたが、治癒が見込める病気になったものの一つです。

検査

血液検査(感染機会から4週間以上経過しての検査をおすすめしています)

治療

抗生剤の内服をします。 

治療開始後は定期的な採血により完治したか確認し、治療終了となります。

ヘルペス

数日前よくわからないが熱が続いてすごくしんどくて、その頃からデリケートゾーンの痛みがすごく、尿をするのにも我慢できないぐらい痛い。椅子に座るのもつらい。熱が下がったのでなんとか外来受診しました。

多く見られるのがこういう状況で、初回のヘルペス感染症は、大人の場合重症化して高熱を出したり、排尿もできなくなったり、歩けなくなったりすることもあります。軽症の場合は抗ウイルス薬の内服にて治療を行いますが、熱と外陰部の痛みが強い場合は点滴での治療がより有効な場合がありますので、入院が必要になることがあります。まずはお近くのクリニックにお電話し、発熱と外陰部のひどい痛みがあることと風邪症状の有無を伝えて適切に受診しましょう。

検査

視診で診断します。

治療

抗ウィルス薬を内服します。重度の時は点滴が必要な場合もあります。

再発を繰り返す(6回/年以上)場合は、1日1回少量の抗ウィルス薬を内服することによって再発を抑えることができ、1年間保険診療で処方が可能です。

トリコモナス

とにかくおりもののにおいが気になる、膿のようなおりものが出ている。かゆい。おりものが泡立っているような感じがある、と症状が強くある方から症状のない方まで様々です。性的接触以外の方法でうつる可能性のある病気なので、症状が強い場合にはおりものの検査を行うことが必要です。抗生剤によって治療ができ、月経が終わった後に再検査を行い治療効果の判定を行うことが必要です。

検査

膣内のおりものを綿棒でぬぐって検査します。

治療

抗原虫薬の内服又は膣剤を使用します。

薬内服終了後、生理が終わったら再検査(効果判定)を必ず行います。

HIV

医学の発達によって有効な治療方法ができた病気の一つです。長い時間を経て免疫系統に故障が起こり、あらゆる感染症にかかりやすく重症化しやすくなる恐ろしい病気でした。早期治療によって、寿命を全うできる病気へと変わりました。血液検査にて診断します。

検査

血液検査(感染の機会から3カ月以上経過してからの検査をおすすめしています)

治療

適切な医療機関へご紹介いたします。

尖圭コンジローマ

外陰部に何かができている、パートナーの性器にできものができ尖圭コンジローマと診断されたので来院した、外陰部に痛みのないできものがあり徐々に量が増えている、などの症状で来院されることが多いです。最近ではインターネットの普及により尖圭コンジローマについて詳しく紹介されているので、ご自身で調べて比較して受診されることも多いですね。できもののできる場所や数によって治療方法を選択します。当院では外科的切除や液体窒素による治療は行っておりませんが、状況に応じて適切に病院をご紹介することが可能です。もちろん、塗り薬だけで治療できる方が最も多いので、まずはご相談下さい。

検査

視診で診断します。

治療

塗り薬で治療します。
(他にもレーザー蒸散、凍結療法、電気焼灼などの外科的切除があります。)

B型肝炎/C型肝炎

B型肝炎やC型肝炎はほとんどが無症状ですが、急激に悪化して肝臓の状態が悪くなり、感染が判明することもあります。B型肝炎ワクチンは現在の横浜市の未就学児では定期接種となったワクチンです。新たに発症する方を防げることはとても素晴らしいことです。また、C型肝炎には現在ワクチンがありません。これらは血液や性交渉を関して感染するものですから、適切な感染防御は重要です。当院でのB/C型肝炎検査で陽性の診断となった場合、同フロアにある横濱ゲートタワー内科(消化器内科専門)様をご紹介することができますので、速やかな連携が可能です。

検査

血液検査(感染機会から3カ月以上経過してからの検査をおすすめします)

治療

適切な医療機関へご紹介いたします。

番外編

カンジダ外陰炎、カンジダ膣炎

腟内や皮膚にいる常在菌であるカンジダですが、性交渉や月経を機に発症することがあります。特徴的な白いかたまりのおりものが出たり、粘膜が赤くはれたり、強いかゆみや痛みが特徴です。中にはひどいびらんや潰瘍になって来院される方もいらっしゃいます。性感染症のカテゴリーではありませんが、性交後に悪化する方が一部いらっしゃるため、誤解されることのある病気です。発症リスクが高い方は、抗生剤内服後の方、月経前後など腟のムレがある方、過剰な洗浄も良くありませんし、糖尿病の方も繰り返すことが多いです。洗浄と腟に使うお薬で改善が見込めますが、状況により再度症状が出るので、日々の健やかな状況を作ることが大切だと思います。あまりに繰り返すことが多い場合は、腟内の正常細菌叢を改善することもご提案しています。外来にてお気軽にお尋ねください。

最後に

性器の症状について、学校ではあまり詳しく学ぶことができません。誰にも相談できずに困っている方もいらっしゃると思います。自分では異常だと思っていても正常の範囲だったり、正常だと思っていたら病気が見つかることもあったり、自分ではよく見えない部分なので不安になったりすることもあると思います。数多くの方を診察している婦人科医だからこそわかることがあります。悩んだら一度ご相談下さいね。

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